紅蒼ノ魔女(仮)
「本気でいった。

本気で、幻に溺れてもらおうと思った。」


「殺ろうとしない、その時点で本気ではないのです。」



睨みつけてくるレオラ。


カイヒ様を運ばなくてはならない、そうは思っているがなかなかうまくいかない。


レオラのいう通り、私は甘々なのかもしれない。


敵である翠魔女を殺ろうとしないのだから。


だが、殺してどうなる?


敵が一人減ったところで現状はかわらない。


そう思っている、というのはきっと言い訳だ。


もしかしたら殺すのが怖いのかもしれない。


ただ今は、そんなことは言ってられなくなった。


これ以上カイヒ様をこのままにしておくのは危険だ。


やるしか、ないのだろうか。



「好きにすればいいよ。」



はっとして振り返る。


そこには薄く笑ったカイヒ様が立っていた。




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声が聞こえた。


魔法をつかう時の声ではない。


セオの声だ。


その声は迷っていた。


殺すか、殺さないか。


多分、僕がいなければセオは時間をかけてでも敵を殺さずに倒しただろう。


つまり、僕のせいで迷っていたってことだ。


紅魔女に従う橙魔女。


セオはその関係をきっちりと守っている。


僕は不完全な紅魔女。


そして、いつ裏切る…というのも変だが敵にまわるかもわからないというのに。


そんな僕の下につくセオが僕には理解できなかった。


だけど、僕のせいで人殺しをする、そんな事実を生み出すことが嫌だった。


これはのんきに寝てられないな。


そして、僕はセオに声をかけた。



「ゴメンね、セオ。

気配は感じていたんだけど、避けられなかったみたいだ。」



あはははっと軽く笑う。



「カイヒ様、お怪我は!?」


「大丈夫だよ。

僕は治癒力が高いからね。

それより、彼女…レオラには僕が魔女だってこと、バレてないのかな?」


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