紅蒼ノ魔女(仮)
まったく、随分と似た親子だ。


これは関係のない僕でもサイリの結婚を反対するよ。


本人は無関心で、本当にいいのだろうか?



「私はオニア・フレニィだ。

そして妻のルミー・フレニィ。

リーシィさんのお友達ならこれからも会うかもしれないからね。

よろしく頼むよ。」


「こちらこそお願い致します。」



父親は普通で良かった。


だけど、妻と娘の管理はしっかりしてほしいものだね。



「この度はわざわざロトニに来てくれてありがとう。

しかも娘の我が儘でいきなりそちらに住まわせて頂いて…

本当にすまない。」


「いえ…」



一見、上品に笑っているリーシィだが、騙されてはいけない。


僕には彼女の心の声がきこえる。


本当よ、迷惑以外のなんでもないわ!


さっさとここに帰りなさい!


耳をすませばまだまだきこえてくる。


いやぁ、苛立っていますね。



「そうね。

お義姉様、感謝致しますわ。」



まだ、認めてないわよ。


というか認める気はさらさらないわよ!


…誰か、リーシィの心の声のみきこえなくなる耳栓とか持ってないかな。


あの笑みが怖い…!



「サイリ君もすまない。」


「いえ。」



一応結婚相手の親なんだけどな。


いいのかな、そんな態度で。



「あなた、私、もう疲れたわ。」



どうせずっと椅子に座っていただけだろう、ルミー様が言った。


きっとそれは歳のせいだ。


と、失礼なことを考えてみる。



「すみません、僕が遅くなってしまったせいですね。」



更には思ってもない謝罪を述べてみる。


今度は僕の心の声がリーシィに伝わったようだ。


笑いをこらえている。



「まぁ、顔合わせもすんだことだしお開きにしようか。

今度また食事でも…」


「失礼致します!」



大きな音をたてて開いた扉から兵士らしき人物が部屋に入ってきた。



「何事だ?」



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