紅蒼ノ魔女(仮)
「A−21の壁が焦がされ、窓ガラスは割られていました。

おそらく、何者かに襲撃されたのだと思います。」



やっと気付いたのか。


遅かったな。



「そうか。

誰も犯人は見ていないんだな?」


「はい。

申し訳ありません。」


「いや、いいんだ。」



意外にもオニア様は落ち着いている。



「さすが一国の王。

こんなことでは動揺しないって訳だ。」



小さく呟いた。



「きっと魔女の仕業よ、お父様!

こんなことをするのは魔女しかいないわ!」



ムッ。


実際そうだけど、最初から決めつけるのはいくらなんでもひどいよね。


魔女=悪って考えは捨ててほしいよ。


ね、サイリ?


ちらっとサイリを見てみると思った通り、不機嫌になっていた。


微かな表情の変化だったが何故か僕にはわかった。


他の人は気付いてないみたいだけど。


婚約者としてそれはどうなのかな?、と心の中でシュリアを笑った。



「そういえば、貴方のメイドは?」



シュリアが僕に向かって話しかけてきた。


なるほど。


セオを犯人だと疑っている訳だ。


まぁ、間違ってはないというかむしろそうというか…。


もしかしたら僕を犯人にしたいのかもしれない。


でもここで認めるわけにはいかないし。



「セオには書庫の本の整理を頼みました。

色々と散らかしてしまったので。」


「本当かしら?

貴方、平民よね?

城に住む私達が羨ましくてメイドにやらせたんじゃないの?」



うわぁ、何この人。


被害妄想が凄すぎる。


逆に僕は、慣れなくて居心地が悪いと思っているのにねー。



「その可能性はあるわね。」



ルミー…様もシュリアの意見に同意する。


……面倒な人達だ。



「申し訳ありませんが、私の友人を悪くおっしゃるのはやめて頂けませんか?」



リーシィがキレそうになるのをこらえ言う。


だがそれも無駄になったようだ。



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