紅蒼ノ魔女(仮)
「だってそうでしょう?

こんな子が私達みたいな貴族と純粋に仲良くなろうと思うはずがないわ。

あ、羨ましいではなくて、妬ましかったのね!」


「っ…!

貴方ねぇっ!」



リーシィがバンッと机を叩いて立ち上がった。


ヤバい、これは止めなくては。



「お言葉ですが、」



リーシィが更に叫ぼうとしたのを遮り、僕はできるだけ静かに声を発した。



「僕はリーシィと単純に仲良くしたいと思っています。

何より貴方達のような簡単に人を疑い、馬鹿にするような者を貴族というならばそんな者には一生、頭を下げられたとしてもなりたくはありません。」


「なっ、なんですって!?」


「誰に向かって言っているの!?

失礼極まりないわっ!」



ふざけんじゃねぇ、と本当はそう言ってやりたいのにこっちは我慢してやってるんだ。


なのに顔を真っ赤にして怒鳴られてねぇ。


あっ、サイリがポカンとしている。


いやぁ、珍しいものが見れた。


つい笑ってしまった。



「何笑ってるのよ!」


「いえ、なんでもありません。」



と言いながらもやはり笑ってしまい、もっと馬鹿親子を怒らせてしまう。



「落ち着きなさい、二人とも。

今のはお前達が悪い。」


「あなた!」


「お父様、何を言っているの!?」



やはりオニア様はしっかりとしていらっしゃる。



「すまなかった、妻と娘がひどいことを言って。

君がああいうのも仕方がない。」



頭を下げられた。



「いえ、僕も言い過ぎましたから、頭を上げて下さい。」



僕的にはオニア様よりそっちですました態度をとっている二人に頭を下げてもらいたいんだけどね。



「本当にすまなかった。」



最後にもう一度言って頭を上げた。



「それではお開きにしよう。

部屋を使用人に案内させる。

また襲撃があるかもしれないから夕食はそこでとるようにしてくれ。」



僕達はそれぞれの部屋に向かうために大広間を出た。


大広間を出るとセオが立っていた。



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