紅蒼ノ魔女(仮)
「やぁセオ、ご苦労様。

大丈夫だった?」


「はい。

遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。」

「いや、気にしなくていいよ。

…あっ、リーシィ!」



呼ばれた声に反応してリーシィが振り返った。



「一度部屋に行ったら、僕の部屋に来てもらっていいかな?」


「?

わかったわ。」



そして僕達は別れた。


サイリに見られているのに気付かずに。



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___________


「カイヒ、入るわよ?」



扉がノックされ、リーシィが入ってきた。



「やぁ、リーシィ。」


「やぁ、じゃないわよ。

どうかしたの?」


「壁が焦げている、窓ガラスが割れている。」


「さっき兵士が伝えにきた話ね?

…まさかっ!?」


「そのまさか。

あれは翠魔女の仕業だ。

さっき僕が遅くなったのもそのせい。」


「…その魔女は?」


「セオが倒して運んだ。

人間には見つからない場所にね。」



そう言うとリーシィは表情を歪めた。



「それじゃあシュリアが言った通りじゃないの…。」



リーシィがキレた理由は僕のことだけではない。


魔女を悪と決め付けられるのが許せなかったんだ。


きっとサイリの分も一緒に。



「…確かにそうかもしれない。

だけど、そんな魔女だけではない、それをリーシィは知っているでしょ?」



リーシィが顔を上げた。



「君まで魔女を敵対視するつもり?

そしたら僕は君の敵になるよ?」



ニコニコ笑って言ったら、溜め息をつかれた。



「貴方は本当に馬鹿よね。」


「ありがとう。」


「…翠魔女は何しに来たのかしら?」


「僕にもよくはわからないけど、何か始まりそうな予感がするよ。」



戦争の前に、潰せる奴は潰せ、そんなところだろう。



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