紅蒼ノ魔女(仮)
「どんな理由にせよ、気を付けておいた方がいいのは確かだ。

あの翠魔女はもう来ないだろうけど他にもいるかもしれない。

夜の外出はしないこと。」


「わかったわ。」



気配だけで魔女がいるかどうかを判断するのは危険なことだと今日知った。


レオラのように隠すのが上手い魔女は沢山いるだろうから。


僕はもとからある力に頼りすぎている。


やはりもっと修行が必要だろう。



「じゃあもうそろそろ夕食の時間だし部屋に戻るわ。」


「うん。

わざわざ来てもらっちゃってごめん。」


「いいのよ。

あれだけ言われたのだから、貴方が出歩くとまた濡れ衣を着せられるわ。」



そうだな。


目の敵にされているからな、また何をやられるかわからないし。



「ありがとう、リーシィ。」


「友達のためですから。」



少し頬を赤くして微笑んだリーシィ。


その姿は年齢より幼く見えた。


こんなこと言ったら怒られそうだから言わないけど。



_________
___________


「カイヒ様。」


「ん?」



リーシィが戻ってから少しして、セオが話しかけてきた。


何かと思って振り向くと、そこには頭を床につけた状態、つまり土下座をしているセオがいた。



「えーっと、これは一体…?」


「申し訳ありませんでした!」



いきなり謝られても何のことやら。



「私がそばにいながらカイヒ様をお護りすることができませんでした。

紅魔女様を護ることができないなんて私は橙魔女の頂失格です。

本当に申し訳ありませんでした。」



何度も謝るセオ。


どうしよう?


正直まったく気にしていないというか忘れてたし、セオを許す許さない以前に僕がやられたのは自分自身のせいだと思っている。


だけどそんなことを言ったところでこの人は納得しないんだろうな。


うーん…



「セオ、顔をあげて。」


「しかし、」


「あげなさい。」



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