紅蒼ノ魔女(仮)
次の日。


僕は朝早くからセオと一緒にリーシィの部屋に向かった。


さすが姫、リーシィはバッチリ目を覚まして着替えまですませていた。



「おはよう、カイヒ、セオリー。

早いわね。」


「おはよう。」


「おはようございます。」



椅子に座らせてもらい、昨日のことを話した。


やはりリーシィは、あまりいい顔をしなかった。



「ごめん、リーシィ。

戦争には絶対に巻き込ませないから。」


「いいえ、サイリも知っておくべきことだったわ。

話してくれてありがとう。」



この姉弟を悲しませてはいけない。


そう思うのに、僕は彼女達を護ろうとはしない。


本当に、自分勝手。


すると、セオが口を開いた。



「リーシィ様、カイヒ様。

お話したいことが…」



そう言いながらも話すかどうか迷っているようで。


リーシィが促してくれて、セオは話し出した。



「昨日、仲間に会い聞いたのですが…

どうやら各魔女達が戦争の準備に本格的に取り組み始めたようです。

それは橙魔女も同じことで…」



言いたいことはわかった。



「いいよ、一度戻って。」


「カイヒ様。」


「セオは頂だ。

その役目を果たさなくてはならない。

それに、約束したしね。

リーシィもいいでしょ?」


「私が決めることではないわ。

セオリーはカイヒのメイドでしょ?」


「ありがとうございます…!」



セオが笑顔を見せた。


なんだかいいことをした気分だ。



「それじゃあ、私達も帰りましょう。」


「もう?」


「あらカイヒはこんなところにいたいの?

あんなムカつく姫がいる城に?」



いいえ、まったく、すみませんでした。


笑顔は時に、凶器である!


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