紅蒼ノ魔女(仮)
「何だよ、魔女かよ。」


「何だよってそれは俺のセリフだ!

ってか人間!?」



しかも馬鹿だ。


つかえねー。


僕の頭以上につかえないんじゃないかな?



「なんか俺、散々ヒドいことを言われている気が…」


「え?

何言ってるの、気のせいじゃないかな?」



リーシィお得意の笑顔を浮かべる。


って僕キャラ変わってない?


…気のせいかっ!



「そっ、そうか?

じゃないっ、人間っ!」



いや、ホント冗談抜きでこの魔女は馬鹿みたいだ。


…魔女?


まじょ、マジョ、魔『女』…



「魔女?」


「そうだよ、人間!

俺は蒼魔女だ!」


「男でも魔女っていうの?」


「っ!

それは…」



言葉を詰まらせた。


どうやら気にしたことがないらしい。



「じゃあ魔者とかにしとこうよ。

その方が疑問が浮かばないし、格好いいと僕は思うよ。」


「そうか?

ならそうするか。」



自分で言っておいてなんなんだが、こんなあっさり決めてしまっていいのだろうか?


そして、蒼魔女…もとい蒼魔者は基本馬鹿なのか?


と油断しそうになった時、強い魔力を感じた。


さっきまで目の前の大きな木にいた蒼魔者がいなくなっていた。


探そうとしても見つからない。


確かに魔力は感じるのに見つけることができない。


…結ぶか。


手首のリボンに手をかけようとして止める。


僕は紅、あっちは蒼。


敵対関係にある僕ら。


もし本当の姿を見せたら確実に戦いが始まるだろう。


そうすればリーシィの城の人達にバレてしまう。


神経を研ぎ澄ませ。


蒼魔者を見つけるためだけに。



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