紅蒼ノ魔女(仮)
本心を言っただけなのに睨まれた。



「はっ、人間なんて嘘をつく野郎ばかりだ。

信じられる訳がない。」


「じゃあ信じなければいい。」



誰も信じてほしいとは言っていないし、そんな簡単に信じられる訳がないこともわかってる。


見た目は人間、魔女の敵。


それを信用し、裏切られたら、その時は彼の人生が終わってもおかしくはないだろうから。



「さっさと攻撃再開しなよ。

ただ僕も、無抵抗ではいられないけどね。」



僕の運動神経を役立てるチャンスだ。


存分につかわせてもらおう。


軽くジャンプして避ける準備をする。


さーて、避けるぞー。


なんてせっかく思っていたのに。



「やめたっと。」



彼は魔道具を消した。



「…えー。」



つい不満をこぼしてしまった。


戦いたかった訳ではないが、あそこまで準備万端って感じにしていたのにこんなオチはない。



「いや、そこは喜ぶところじゃないか!?」


「喜ぶ訳ないでしょ。

まったく、残念だよ。」


「戦えなくて?」


「違う、違う。

君の存在が残念なの。」


「…俺、一応魔女、もとい魔者なんだけど。」


「知ってるけど、それがどうかした?」


「はぁ…

駄目だこりゃ。」



うっわ、その態度ムカつくなぁ。


冗談に決まってるじゃないか。


なんかキャラがえが流行っているみたいだから、やってみただけなのに。



「偽魔者。」


「おい、誰が偽だ。」


「君以外にいないだろう。

そんなこともわからないのか、馬鹿。」


「お前消してやろうか?」


「できるもんならやってみろ、ヘタレ。」


「ヘタレ!?」



やっぱこいつは魔女族じゃない。


魔力が高いただの馬鹿だ。



「今失礼なこと考えただろ?」


「さぁね。」



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