紅蒼ノ魔女(仮)
結局あまり収穫はなしか。


当日までに紅魔女か蒼魔女の頂に会えればいいんだが。


今は情報が欲しい。



「で、何故カイヒはそんなことを知りたがってるんだ?」


「………」


「散々答えてやったんだ、お前も答えないと不公平だろ。」



確かにクルの言う通りだ。


仕方がない、答えてやるか。



「自分の為だよ。」


「はぁ?」


「だから、自分の為に知りたかったんだ。」



戦争を起こす理由が知りたい。


知れば僕の選ぶ道を決められるような気がするから。



「人間と魔女、どちらの味方にもつかない。

そんな人が必要だと思うんだよ。」


「それに、なるつもりなのか?」


「うん。」


「まるで戦争を止めようとしているみたいな言い方だな。」


「うーん、どうだろうね。」



今、止めるか止めないかを天秤にかけたら、それはどちらにも傾かずに終わるだろう。


だけどそんな心も不安定で。


ちょっとした出来事で片方が重くなり、天秤が壊れてしまう可能性もある。


それ以外の答えはありえない、と思うようになるかもしれない。



「とりあえず僕が優しくないってことは事実かな。」


「…答えになってねーよ。」



そんなこと僕が一番わかってるさ。


ききたい気持ちを抑えて、もうその話題を振らないクルが優しいってこともね。



「さて、もうそろそろ戻らなくちゃ。」



さすがに長い間話しすぎだ。



「俺もだ。

調べ物があってここまで来てたから、戻って報告しなくちゃいけねー。」


「頂に近い者が調べ物?

普通下っ端さんにやらせないの?」


「普通はな。

だけど今回のは少し危なくてな。」



なんだか嫌な予感がする。



「…その調べ物って何?」


「最近ここらで強い魔力を感じたっていう翠魔女がいてな。

そいつは橙魔女と戦ってやられて帰って来たんだが、どうやら魔力の気配はその橙魔女ではなかったみたいなんだよ。」



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