紅蒼ノ魔女(仮)
嫌な予感的中。


レオラから情報がまわったようだ。



「だからそいつを見つけに来たって訳だ。」



紅魔女だということはバラさなくて正解だったようだ。



「因みにその人は見つかったの?」



答えはわかっているが、一応聞いてみる。



「いーや、見つからなかった。

まぁもう移動したか、気のせいだったかのどちらかだろう。」



良かった。


ついほっとしてしまった。


ロトニでは一度も魔女になっていないから簡単にはバレないはずだが、もしものことはある。


実際僕自身、自分の魔力をよくわかっていないのだから。



「そうなんだ。

なんていうか、お疲れ様。」



そして、すみません。



「結構休めたからいいさ。

それに変な奴とも会えたし。」


「それは良かったです。」


「お前のことだぞ?」



ですよねー。


でもそれはほめ言葉なんで。



「まったく、男なのにそんな恰好して。」


「……はっ?」



ちょっと待て、今何と言った、こいつ。



「誰が男?」


「お前。」


「僕?」


「お前以外誰がいる?」



馬鹿だとは思っていたけどまさかここまでとは。



「クルには僕が男に見えるの?」


「いや、全然見えない。」


「なら何故そういう風に思ったのかな?」


「僕って言ってるし。

何か正体でも隠すために女装してんのかなーって…」



正体隠してるってところはあってるのに、なんて残念な思考回路。


ははははっ。



「あの、怒っていらっしゃる…?」


「まぁさすがの僕も男って言われたら少しはねー。」



初めからそう思われることはなかった。


冗談で僕が言うことはあったけど。


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