いちごな3人の女の子の物語
「……君、寝不足?」
「へっ?」
パチッと目が合った先輩に、あたしは素っ頓狂な声を上げた。
何で今、寝不足だなんて言葉使うんですか?
ていうかそんな話、してましまっけ?
そもそもあたしに話し掛けたの、初めてじゃないですか?
ていうか、やっぱりあたしの呼び方『君』なんですよね。
いろんな言葉が交錯したけど、口をパクパクしてしまうだけで、声にならない。
痺れをきかせた先輩が、絶対零度の瞳のまま頬杖をした。
「……聞いてる?」
「ききっ、聞いてますけど、寝不足じゃないですよ!」
どもった声を誤魔化して、あはっ、と笑う。
すると先輩は目を逸らして
「……そう」
と、だけ呟いた。