いちごな3人の女の子の物語

「先輩、あたしの名前、知ってますか?」


「……え?」



言っちゃった。

って思った時は、もう遅くて。



でも先輩、初めて質問にちゃんとしたリアクションをくれた。



普段なら喜ぶこのシーンも、今は喜べない。



涙で、前がぼやけて。


先輩の表情すら見えない。



「大丈夫?」



さすがに引かれた、と思ったけど。


先輩は至って優雅な動作でハンカチを取り出すと、スッと差し出した。



でも、受け取らない。


涙を覆う手が、動かないんです。



「っ……ぱ、…あたし……ぃっ…」


「何?」


< 7 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop