いちごな3人の女の子の物語
「先輩、あたしの名前、知ってますか?」
「……え?」
言っちゃった。
って思った時は、もう遅くて。
でも先輩、初めて質問にちゃんとしたリアクションをくれた。
普段なら喜ぶこのシーンも、今は喜べない。
涙で、前がぼやけて。
先輩の表情すら見えない。
「大丈夫?」
さすがに引かれた、と思ったけど。
先輩は至って優雅な動作でハンカチを取り出すと、スッと差し出した。
でも、受け取らない。
涙を覆う手が、動かないんです。
「っ……ぱ、…あたし……ぃっ…」
「何?」