いちごな3人の女の子の物語
「……友菜」
あ、れ……?
ふと気づいた時には、机越しにいた川崎先輩に、何処かのお姫様みたいに手を取られていた。
で、今……友菜、って……?
「向坂友菜さん」
「は、い……っ」
先輩があまりにも素敵すぎる声で呼んだから、キュンキュンって、心臓がうるさい。
ていうか、先輩……。
目が合った先輩は、とても優しい微笑みで、あたしを見ていた。
「今日は、2月14日。俗にいうバレンタインデーだ」
「え?」
「ポケットの中身、俺にくれないの?」
「……!」
「昨日、遅くまで作ってたんじゃないか?」
「…………」
「目が赤い。ここに来て4回欠伸をかみ殺した。バレバレだ」
ふっと微笑む川崎先輩に、顔がわかりやすく真っ赤になったのがわかった。