【番外編更新中】鬱気味お嬢様の甘い諸事情。
▼憂鬱な朝食
「お嬢様遅かったですね…どうなさったのです?」
意味ありげな笑み。
全部見透かしているような笑み。
……知ってるくせに。
まったく、確信犯な執事だわ。
「二度寝してしまっただけよ」
何もなかったように言ってはみるけど、本当は違う。
どうしても一人でリボンを結ぶことができないのだ。
学校の女の子たちは、大きなリボンを器用に見本用の物みたいに結んでいる。
私はそれがどうしてもできない。
小さな頃から、身の回りのことは誰かがやってくれたから。
「リボンが曲がっていますよ」
零はそうわざわざ耳元で囁くと同時に、すっと手際よく直してくれた。
やっぱり、私は零がいなくては何もできないんだ。
「……やってなんて言ってないけど」