【番外編更新中】鬱気味お嬢様の甘い諸事情。
*絶望な瞬間
ゆっくり目を開けると……
目の前に見えるのは、真っ白な見慣れない天井。
ここが病室だということが分かるのに、さほど時間はかからない。
「朱里…っ!!」
ベッドの脇には、お父様と亜美の姿があった。
あたし……生きてたんだ。
あたしの右手は、お父様の手によって強く握られている。
一気に寒気が走った。
「離してっ」
バッと手を払うと、何故か俯いてしまったお父様。
ちょっと胸が痛んだけど……
こんな下劣な人。
ほおっておいていいわよね。
ふっと気になったのは……
零がいないこと。
なんで、嘘つき女がいて……
零はいないの?
きょろきょろと辺りを見回したものの、病室にあたしたち意外人がいる様子はない。
「零は……?」