【番外編更新中】鬱気味お嬢様の甘い諸事情。
遠くからでも分かる長い睫毛。
流れるような黒い髪。
冷たく深黒な目。
ガタンッ
「んゎ…っ!?」
車が大きく揺れ、開いてしまった鞄。
未使用の教科書たちが無残にばら撒かれてしまった。
教科書を集めようと手にすると、「申し訳ございません」と零の謝罪が聞こえた。
「平気よ」
すました顔をしながら、ささっと教科書を拾い鞄を閉める。
……ん?
もう一度中を開け、バッグの中身を覗く。
漫画のような単行本が2冊。
私、漫画なんて持ってないし。
誰のかしら?
本を手に取ると、真っ先に目に入った破廉恥な表紙。