【番外編更新中】鬱気味お嬢様の甘い諸事情。
目線をゆらゆらと泳がせるようにそらしながら、小さな声で呟く。
「かしこまりました。では、私は失礼致します」
そう一礼した零が部屋を出ていくのを見送ると、カバンから漫画を取り出す。
「はぁ……」
いつ見ても破廉恥な表紙ね。
カバンを無造作に床に投げて、ベッドに寝転がる。
綺麗な絵にすぐに惹きこまれる。
可愛らしいけどツンツンした主人公と、零みたいにいやらしい執事。
パラパラと読み進めていくと、聞きなれない言葉に出会った。
主人公のお嬢様が執事に『あたしを抱きなさい』そう言っているシーン。
抱くって何?
抱っこしてってこと??
でも2人の雰囲気は、そんなものじゃない。
もっと妖艶で、危ない雰囲気。
「抱くって何かしら?」
いくら考えてみても、抱っこしか思いつかない。
そして、漫画を見て『やっぱり違う…』そんな繰り返し。
なんだかいやらしいわ。