右耳のピアス

第一話


━病院━



「まぃちゃん!」


いつも
主治医の佐藤さんは
ピカピカの笑顔で
回診にくる。



ってあれ??
今日はいつもより
一時間早い。


タタタタッ


ちょっと小走りだし
「どうしたの?佐藤さん
今日はずいぶん早いね。」

…しかも
いつもの笑顔じゃない

んー…。
また検査悪かったのかな。

「あのね。」

佐藤さんが重そうに口を開く。

コェー。

「ちょっと
相談なんだけど…。」

「はぃ。」


「………。」
…何故溜めるッ

「…。」
…オィッ。



「和泉学園行こっ」

…………

「んぇ!?」

「だからっ
和泉学園受けなよって!!」

「…あの、もぉちょっと
分かりやすく…。」

「あー。だからっ
んー。つまり
えー…と。」




ダダダッ

あ。逃げた。


~10分後~

ダダダダッー…。

「ゼーッハーッ
まぃちゃっゼーッ」

「佐藤さん
だっ大丈夫ですか?」

…右手を突き出し、
"待て"のポーズ。


……ゎん。


ポッポー…。

「ふー。落ち着いた。」

30を目前にした佐藤さんに、
階段ダッシュはキツイょね。
私は自販機で買った
ホットコーヒーを
佐藤さんに渡した。


「いゃぁ。悪いわね」

「いぇ、で?」


「で??」

「話の続きっ」


「あ。忘れてた」

…オィッ。


「コレょコレ!!」

机にパンフレットが
広げられる。

バサァ

…ざっと15冊。

「コレ、どぉしたんですか?」

「んー…。拾った。」

…。
「は!?」

ヒロッタ!?
落ちていたモノを
私の机に広げてるの!?

いゃ。
一応私患者で
あなた医者ですよ。
衛生的に少々問題が…。


「まぁ、入手源はいいから…。
ココ!!ココ読んでみて」


「ナニナニ?
我が校では特別入試枠として
入院中、療養中で試験を
受けることが出来ない生徒を
面接試験で…。」


「うんっ♪
だから学校行こっ」


「…でも、あたし
一年遅れてるし」

私は中学の頃のイジメで
体調を崩し、
それからずっと入院している


「学校はこわい?」

「…うん。」

「この学校ね
通信制もあるの
だから行きたくないなら
お家で勉強も出来るわ
単位ももらえるし…」

佐藤さん…。


「でも、
ひとつ言わせて…。」

佐藤さん顔がこわい。

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