四王寺学園記
「…行っちゃったね…。」
「んんんーんーーー!!!」
「あ、ごめん。」
「ぶはぁ、ハァハァ、く…くるしかった…。窒息死するじゃん…。」
「ごめん、だって楓が会長に噛みつこうとするんだもん。」
「うっ…だってなんかムカついちゃって。」
しゅん…と楓がうなだれる。
「まぁ、チョー俺様だったよね。あの人が先輩の言ってた友人だったりして。」
「え、そりゃないだろ。……たぶん。」
「じゃ、いこっか、楓。」
「うん。」
2人は手を繋ぎながらエレベーターへと向かっていった。
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「ねえ薫。私達道間違えてないよね?」
「そ、そのはず。だって道1本しかなかったし…。」
「「これが、寮…?」」
ポカーンと立ち尽くす二人の前には高級ホテルのような建物がそびえ立っていた。
「薫、ここ、寮だ。あそこに四王寺学園高等部寮って書いてある…。」
「ホントだ…。」
「入る…?」
2人は繋いでいた手を握りなおし建物の中へ入って行った。