四王寺学園記
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「はぁ…カッコ良かったね、有巣川先輩。」
「ウン、ソウダネ。」
「何よ楓。あんたホントにカッコイイって思ってないでしょ!」
みにゅ~と頬を引っ張られ、楓は涙目になる。
「い、いひゃい!はなしぇえ!!」
「あは。楓のほっぺ伸びるね」
「えーっと、楽しそうな所すまないね。君達、北原楓ちゃんと前野薫ちゃんで間違いないかな?」
有巣川があの笑みを浮かべながら二人に近付いてきた。
「…あ、あり、す川先輩…」
「覚えてくれたんだ、前野ちゃん。嬉しいよ。」
いきなり現れた憧れの人に薫は固まった。楓の頬を掴んだまま。
「い、いひゃい…。」
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「(頑張れ!頑張れ、薫!)」
今、楓達は理事長室に向かっている。先輩の話によると、理事長が珍しい外部生2人に会って話をしたいそうだ。で、その案内役が先輩らしい。
「(あ!先輩が薫に笑いかけた!顔真っ赤になってる…よかったねぇ、薫。)」
楓はニヤニヤしながら薫のことをを母のような視線で見つめている。
「……で、ココが校舎。この建物の最上階に理事長室があるんだ。ちなみに、その隣が生徒会室だよ。」
「「すごい…」」
「うん。僕も最初は驚いたよ。金かけ過ぎだよね、この校舎。」
金をかけるって事にも程があるだろ、と突っ込みたくなる。
門からも見えていた城のような校舎だが近くで見たらまるで宮殿のようだ。