四王寺学園記


「はぁ、のぼせそう…上がんないと。」
そう言って湯船から上がる。外なので体が冷えないようにタオルを羽織って中へと戻る。


ガチャッ


「え、」
「あ?」


「ええええ!?なななんで会長がここに!?」

ドアを開けたまま楓は固まった。なぜか相沢が浴室の湯船に浸かっている。白いお湯に赤いバラが浮いていて、どこかのリゾート地のお風呂みたいだ。


「それはこっちのセリフだ。てかさみいから閉めろ。」

「ひゃ、すみません。」
ガチャン、と言われたとおりに閉める。

「(バスタオル巻いてて良かった…。それにお風呂も…白いお湯ナイス!)

なんか、すみませんでした。わ、私出ますね……くっしゅんっ!」
湯冷めしないように、と巻いたバスタオルがあっても長時間いれば冷えるものは冷える。

「おい、入れ。」
「へ、」
「いいから入れ。」
そう言われグッと相沢のいる湯船に引きずり込まれた。


「ひゃ!」

バシャンッ

必然的に相沢にのしかかるような体勢になってしまった事に楓は赤面する。
慌てて相沢を押しのけ距離を置く。
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