四王寺学園記
「(私、こんな所にこれから通うんだ…。)」

「楓~?置いてくよ。」
いろいろ考えていたうちに2人と離れてしまったらしい。薫と副会長が建物の玄関らしき所で呼んでいる。

「へ!?ご、ごめん!」
慌てて2人のもとへ走る。
「楓ったら、危なっかしいんだから…。」

「薫、私を子供扱いしないでよ…。」
「は?あんたは子供だからいいの。」
「だから…!」

「ふふ、2人は仲がいいんですね。」
エレベーターに乗りながら何時ものように言い争いになりかけた時、副会長が微笑みながらそう言った。

「は、はい。楓とはすごい小さい頃からの友達で…。」
「私にもいますよ、幼馴染。優秀だけど俺様で…でも自分が決めた事はやり通すんです。」
「へぇ~。なんか、カッコいいですね。」

「そうですね。男の私から見てもカッコイイのですが…なんというか、熱中しすぎてしまう事があって。目を離すと平気でご飯を抜いていたり寝なかったり…。」

「「(その人、先輩が放っておいたら死んじゃうんじゃ…。)」」



「(先輩の言う人ってどんな人なんだろ。)」
楓がそんな事を考えているうちにエレベーターは最上階についた。
ポーンとエレベーターの音まで品が良い。

ウィン…と扉が開く。



「「うわぁ……。」」


二人して口から零れ落ちるような感嘆の声を上げた。

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