四王寺学園記
2人はなんだか見てはいけないものを見てしまったような気分になった。
「理事長も忙しい人だから、大変だね…。…………じゃあ、寮まで案内するよ。」
「…はい、お願いします。」
てくてく、と来た道を歩く。
「ねぇ、楓。この学園って美形率高くない?」
薫が楓に小声で聞いた。
「うん。会長、副会長、理事長、皆美形だよね。」
「おい、涼。仕事だ。」
「あ、尋和。」
「(あ、この人、生徒会長の…。)」
「ん?なんだ、こいつらは。ここは部外者立ち入り禁止だぞ。」
「尋和、違うんだこの子た「今日入学してきた北原と前野です。」
楓は尋和と呼ばれた男の言い方にちょっとムカついたので強めの口調で言い放った。
「…あぁ。」
納得したように呟く。
「ハッ、涼、お前もこんなちんちくりんの案内じゃ大変だな?」
「ち、ちんちくりん!?私のどこがちんちくりんなのよ!?」
「ココとか。」
そう言って楓の胸を指差した。
「…!!!(ひ、人が気にしていることを…!)」
「尋和!そんな事を言いに来た訳ではないでしょう?」
「あぁ、そうだ………。」
「そういうことですか、分かりました。私が行かないとですね…。でも、」
「あ、先輩!お仕事優先してください。私達は地図も持っているので、2人で行けますから。」
「どうやら、もう1人はちんちくりんじゃないようだな?涼、行くぞ。」
「なん、んぐっ!」
「先輩、行ってきて下さい。」
「ごめん…ありがとう!今度お茶でもしようね!」