金星
クラスで友達とだべっていたヨシヤと合流し、
駅に向かう二人のいつもの帰り道へ。
「優奈~今日遅かったじゃん。また転んだんだって?」
いつもの固い左手があたしの右手を包み込む。
ヨシヤのちょっと心配そうな笑顔があたしに向けられた。
「あはは、まーね」
駅前の十字路が見えてきた。
ヨシヤとお別れの時間が近づく。
今日は、
一緒にいたい。
抱きしめてもらいたい。
「ヨシヤ……今日一緒にいたいな……」
心の声が思わず口から漏れた。