金星
「それにしてもさっきの潤ちゃん格好よかったよ~」
「あ、何が?」
「『これ以上アズミを危険な目に合わせたら俺が許さないから』ってキャー!」
「だーかーらー、彼女って設定なんだからそれくらい言うだろ」
モンブランを口に入れながら、あきれて俺は言った。
「もーその言葉だけ携帯に録音しとけば良かったよぉ。
潤ちゃんうちの高校でも人気なんだよ! 100円とかで着ボイスにしたら絶対売れるよ~」
「ちょ、俺使って商売すんじゃねーよ」
思わず、食べかけのマロンを吹き出しそうになった。
やっぱりこいつ面白いな。
「ね、さっきの、もう一回言って」
来た、まつ毛パチパチの上目遣い。
「言わねーよ!」
「おねがぁーい」
「言うか」
「ケチ!……あ、ゲホッ、う~残念~!」
そういえば、
何をこんなに作ってるんだ? こいつは。
素の方が面白そうでいいと思うのだが。
まあ、これはこれで十分面白いか。