金星
「次、教科書53ページ……」
退屈な現国の授業中。
ふぅーーー。
隣の席から重たいため息の音が聞こえてくる。
チャキチャキチャキチャキ。
ときどきシャーペンの芯を出してはしまいこむ音も聞こえてくる。
あーーうるせぇ!
最近隣の席――優奈からは暗いオーラが発せられていた。
いつもうっさい奴なのに、
俺まで何か調子狂いそうだ。
「何だよあいつ、どーせまたフられたんだろ?」
思わず屋上でコーヒー片手に
タケルに愚痴ってしまった。