金星
「あー美味しかったぁ! ね、今日潤ちゃん家行きたいな~。南町のあの超高級マンションでしょ?」


腕に絡みついたまま、

お得意の上目遣いで俺を見るアズミ。


「あ? 何言ってんだよ。ほら駅まで送るから帰るぞ」


「ぶーぶー、潤ちゃんともっと一緒にいたぁ~い」


「はいはい、また今度な」


「え~~!?」


と、駅前の十字路でその腕を放そうとした時。


ふと交差点の歩行者信号が青になる。


横断歩道をたどって、こっちへ向かってくる人の群れの中、

アズミと同じ制服の女が2人くらい目に付いた。


――ん?
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