金星
思わずあたしもその方向へ視線を向けると。
窓越しに、
東高の制服の女子がいる。
「……」
その子は、足を止めて、
潤一とあたしの方を見ていた。
う、あたしも目が合ってしまった。
どうせ潤一が遊んでるか何かしている女だろう。
でも、その目……、
あたし達のことを睨んでるわけではない。
ただ、窓越しに、
あたしと潤一の姿を見ているだけのようだ。
丁寧に巻かれた巻き髪。
はっきりとした目のまわり。
ミニスカートにすらりと伸びた黒ハイの脚。
右へ左へ行き交う人の群れの中、
その子だけ立ち止っている様子は絵になる。
うん、結構可愛い。