金星

思わずあたしもその方向へ視線を向けると。


窓越しに、

東高の制服の女子がいる。


「……」


その子は、足を止めて、

潤一とあたしの方を見ていた。


う、あたしも目が合ってしまった。


どうせ潤一が遊んでるか何かしている女だろう。


でも、その目……、

あたし達のことを睨んでるわけではない。


ただ、窓越しに、

あたしと潤一の姿を見ているだけのようだ。


丁寧に巻かれた巻き髪。


はっきりとした目のまわり。


ミニスカートにすらりと伸びた黒ハイの脚。


右へ左へ行き交う人の群れの中、

その子だけ立ち止っている様子は絵になる。



うん、結構可愛い。
< 130 / 358 >

この作品をシェア

pagetop