金星

「優奈、最近電話出れなくてごめんね。

夜ちょっと出かけてること多くてさ」


「しかも、あんなに着信入ってたら、何かあったかと思ってびっくりするじゃん」


「俺が忙しいのって、優奈不安なの?」


「付き合うのってお互いのバランスが合わないと難しいよね」



人気が少ない放課後の自動販売機前。

コーヒーを片手に、あたしはヨシヤにそう言われていた。



「俺、優奈のこと好きだったよ」


あれ? 過去形?


「でも、俺はやりたいことあるし、

優奈は優奈でやることとかあるじゃん」


なぜか、目の前のできごとがドラマの中のことに思えた。


「優奈、友達に戻ろうか」


――え?
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