金星

そうあたしは言いかけたが。


「うーん、俺だってやることあるし、友達だって大切だし、そういうのやめてくれるかな」


「いやだよ……ヨシヤ……」


なんであたしを信じてくれないの?


「じゃあ、俺バイトだし、そろそろ行くわ」


「やだ、行かないで!」


気が付いたら目と頬が涙でぐちゃぐちゃになっていた。


下駄箱から少し外に出たところにあるこの場所。

きっと色んな人に見られているだろう。


校門に向かっていく、ヨシヤの後姿が遠くなっていく。


上手く立てない。


ガタン……。

あたしは固いコンクリートに膝をついていた。


ああ、あたし、

またフられちゃったんだ。
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