金星

たぶん、あそこでタケルの力を借りていたら、

あたしはタケルの優しさに甘えちゃう。


でも、だめだめ! タケルは――。


『気になる人できたかも』

『ヘアバンドの……って言ったらわかるでしょ?』


真っ赤な顔で加奈がそう言ったことを思い出す。


親友の好きな人だし、あたしが邪魔しちゃだめ。

危ない危ない、ふぅ~。


そう思える余裕ができるくらい、

きっとタケルに気持ちを回復してもらった気がする。


ありがとう、タケル。
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