金星

「お前やっぱまたフられたんだって?」

と、次の日の朝、

珍しく朝から学校に来ている潤一に言われた。


「って、いってぇ~!」


あたしは無言で消しゴムを潤一の頭に向かって投げた。

ナイスヒット!


「まま、またパフェ連れてってやるから泣くなよ」


いつもの棒読みな話し方。

って、潤一が珍しく優しいこと言った!


「……今日雪降るわ、絶対」


「はぁ? もう7月だべ」


タケルのおかげで、

まわりに普通に見せることができる

余裕ができた気がする。


でも、昨日もパパとママは楽しそうに二人で晩酌をしていて。

相談しようと思ったけど、二人の間に入れなくて。


あたしは一人で、部屋で泣いていた。


あたしは、普通にラブラブな、

素敵な恋愛がしたいだけなのに。


どうしていっつも上手くいかないんだろう。


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