金星

カウンターキッチンの近く、

オートロックのモニターを見ると。


――アズミ!?


雨で濡れたんだろう、

髪の毛のボリュームがいつもより少ない気がする。


「俺だよ、どうしたんだよ」


「……潤ちゃん、ごめんね」


モニター越しにか細い声が聞こえてきた。

伏せ目がちで、いつものアズミとは何かが違う。


アズミと会うのは3週間ぶりくらいだろうか。

いや、優奈と喫茶店いたの見られてからだと、2週間ぶりか。


「とりあえず上がってこいよ」


とりあえず1階のオートロックを開けて、

部屋まで来てもらうことにした。

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