金星
話がよく見えないが、

今までの関係ぶち壊してまで俺に迫って、

抱かれることで気持ちをふっきるつもりだったのか?


しかも、こいつ初体験だろ。

本当、バカだ――。


「でも俺、何となく気づいてたわ」


アズミの目に語りかけるように俺は言った。


「え?」


「ブリブリしてんのとか、高校入ってからお洒落はじめたんだろーなとか」


無意識のうちに、俺はアズミの髪の毛を撫でながら話していた。


「しかも、優奈――あの喫茶店に一緒にいた女、ただのクラスメイトだし」


「ほ、ホント?」


「あ、でもお前のあの手慣れたチューだけは、初めてじゃないと思ったけどな」


「……!」


チークの取れかけたアズミの頬、

気がつくと耳まで赤くなった。

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