金星

「もー、潤ちゃんってば~!!」


目に涙を溜めながら、照れて笑うアズミ。

思わず俺も笑う。


「……潤ちゃん、大好き」


するとその大きな目が再び俺を見つめ、

そしてゆっくり閉じられた。


「アズミ……」


グロスがとれかけているアズミの唇に、

俺は視線を移した。



――ドクン。


ん?


何かおかしい。


――ドクン。


心臓の音が変に鳴り始めた。


どうした、俺……。


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