金星
「俺、ワイン飲めねーし」
「いや~これ上手いんだぞ。極上のシェリー酒」
スポン、と勢いよくコルクが開き、
黄金色の液体がグラスに注がれる。
「やっぱり美味いな」
グラスを回すように振りながら、親父は二口、三口とそれを飲んでいた。
俺も、とりあえず一口飲んでみたが、
やっぱり甘くて苦い香りがつんと鼻にきて、苦手だ。
「んー、俺には合わないな」
「最初はそうだろうな、だが次第にその味わいに魅了されるんだよ」
英語のパッケージに包まれたチーズもテーブル上に仲間入りし、
親父の酒は進んでいく。
俺も、少しずつ、慣れてきたせいか、
その液体を飲めるようになってきた。
すると、頭の中と心の中も落ち着いてきた。
温かい味がする――。