金星
「優奈も座りなよ。さっきコーヒー買ってきたし飲む?」


「いいのー? ありがとう」


そう言って、あたしも朋宏の横に座る。


朋宏はやっぱり大人っぽいな。


ワックスで軽く整えられた長すぎない黒髪。

細めのジーンズにグレーのパーカー。


ラフな格好なのに、ぴったりとそれが似合っている。


「朋宏は、家から大学まで通ってるの?」


「ううん、今は浦和の方で一人暮らししてるよ」


「へぇ、浦和なんだ。ここからも行きやすいね」


「そうそう、ちょうど実家と大学の中間くらい。で、今日はたまたま実家に帰ってきてて」


公園のまわりに広がる住宅街。

その家やマンションの間から、夕日が顔をのぞかせている。

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