金星


「……俺も昨日あまり眠れなかったんだけど、やっぱり優奈への気持ち変わってないのかなぁ」


白いマグカップ片手に

少し笑いながら、朋宏はそう言った。


その瞬間、心臓が高鳴る。


朋宏、受験大変そうだったし、あの時フられたのは仕方がない。


もう、お互い落ち着いているんだし、

きっと今度は上手くいくよ。


「あたし、朋宏のこと好き! もっと一緒にいたい!」


あたしが大声を出したせいか、

朋宏は少し驚いた顔をしていたけど。



「…………優奈、こっちおいで」



すぐに、優しい顔になって、あたしを呼んだ。

あたしは、吸い込まれるように、朋宏の横に座った。

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