金星
木曜日。


目が覚めると、トーストと目玉焼きの匂いがした。


あ、そっか、ここは――。


部屋の奥のキッチンに、

Tシャツとスウェット姿の朋宏がいた。


「あ、起きた? 風邪ひいちゃうしとりあえず服着なよ」


ベッドのすぐ下に、綺麗に畳まれたあたしの制服があった。


時計を見ると、朝の6時半。

ここから家に寄って、学校に行っても時間的には全然余裕。


パパとママには加奈の家に泊まると言ってある。


「はい、朝ごはん」


制服に着替えたあたしの前に、

朋宏が作った朝ごはんが並ぶ。

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