金星

そういえば、アズミが階段から突き飛ばされた時、

一瞬だけ、俺の目の前に映し出された光景って――


『潤一っ……危ない!!』

という、

懐かしいような女の人の悲鳴と、


この写真くらいの時の俺が、

階段の下で倒れている女性のそばで泣いている場面。


ん、あれが母さんなのか?


「……うっ」


すると、突然頭の中が締め付けられるような痛みに襲われた。


うーん、頭痛ぇ……。

やっぱり母さんのこと何にも覚えていない。
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