金星

期末テストがもうすぐあるためか、

ほとんどの生徒が朝から真面目に学校に来ている。


確か、俺は……4歳くらいから保育園入れられて、

初めは親父が迎えに来てたけど、

そのうち親父が忙しくなって、知らない女が交代で迎えに来て、

ってのは覚えている。


でも、やっぱりそれより前の記憶がない。

何でだろう。


「ここまでが試験範囲だぞー。お前らちゃんと勉強しろよー」


ふと右を見ると、

授業に集中しているクラスメイトたちの中、

ぽっかりと空いている優奈の机があった。


『潤一、ごめんっ、明日もしかしたらパフェ行けないかも』


あれが、あいつとのラスト会話。


あれが先週の木曜日だから、金曜、月曜、火曜、今日も学校に来ていないことになる。
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