金星

「そーいえば潤一と前ここに来た時、こっから東高の女の子見えたじゃん。あの子って大丈夫だった?」


アズミのことか。

あれから、連絡できないし連絡も来ない。


――仕方がないか。


「あー、もう会ってないわ」


「え~!? もしかしてあたしのせい? 誤解させちゃった? でもどーせ遊んでる女でしょ?」


「ちげーよ。あいつは……」


何となく、ただの遊びの女って思わせたくなかったから、

アズミとのことを優奈に話した。


仲良くなって、手を出すつもりなく普通に遊んで、

でも告白されて、なぜか怖くなって、

拒絶してしまったこと。


少し、窓の外は夕日で染まっていて、

店内では2、3組の客が入れ替わっていた。
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