金星

「じいちゃん北海道で旅館やってるんだけど、じいちゃん病気が酷くなって、俺の父さんが急遽、旅館の後継ぐことになって」


「……」


「無理にこっちで一人暮らしする理由ないから、俺も北海道行き確定~」


タケルがタバコを足元に落とし、足でもみ消す。


「加奈ちゃんも言ってるんだけど、たぶん優奈ちゃんの彼氏危ないから、俺がいなくなってもちゃんと優奈ちゃん見ててあげて」


「……あ、あぁ」


とぼとぼとタケルは屋上の入口へ向かって行った。


は? 転校?

まだ俺は状況を掴めていない気がする。
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