金星

4月、入学式の頃。


クラスメイトたちが遠目で俺のことを見ている中、

『おー、ユーが潤一くんって人~? 噂通りのイケメンっすね~』

まだヘアバンドをつけていない金髪の派手男が、話しかけてきた。


初めは何だこの調子乗ってる奴、と思っていたが、

本当はすげーいい奴で、クラスで唯一何でも話せる友達になった。


それにしても、あいつ――


優奈にダメもとで告白しに行くのか。

気持ちふっ切ってから、転校するってことか?


ってか優奈も身近にこんなにいい奴いるのに。



期末テストが終わり、夏休みまであと2日。

優奈は学校に来たり、来なかったりを繰り返していた。
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