金星
「ただいまー」

久々に家に帰ってきた。

加奈とゆっくり話したから、19時を過ぎてしまった。


「あー、優奈おかえり」

「おお、帰ってきたのか?」


居間でパパとママが、2人でご飯を食べていた。


「今日あたしもここでご飯食べていい?」

「もちろんだよ。何だ~? 彼氏と喧嘩でもしたのか?」

ビールを片手にパパが言う。


「違うよー、たまにはパパとママが恋しくなってさ」

と、ドラマのセリフっぽく、わざとらしい口調であたしは言った。


「何よ~あたしたちも優奈が恋しかったのよ、ねぇ、パパ」

「ああ、優奈が幸せになるのはいいが、まだパパもママも子離れできてなかったんだって分かったよ」


「本当ー? あたしいないとすぐ2人でラブラブするくせにー」


あれ? おかしいな。

ママの作ったハンバーグに、

少し涙の味が混ざる。
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