金星
目を閉じると、階段の下で倒れている母さんの姿がフラッシュバックする。
「うっ……」
勢い良く俺は起き上がった。
Tシャツごしの背中に変な汗が出てきているのが分かった。
起きた勢いで、パソコンをスリープモードから戻してみたが、
やっぱりgyabanさんはオフラインのままだった。
再び、ベッドに横になる。
幸いにももう夏休みが始まるので、
若干の寝不足は気にしなくて済んだ。
母さんは東北のとある町にいるらしい。
別に今さら会いたいなんて思わないが、
この苦しみから解放されるんだったら、一度くらい顔を見てみたいと思った。