金星
「加奈、だっけ?」
「だっけ、ってひどい……。実は、優奈とまた連絡取れなくなっちゃって、何か聞いてますか?」
加奈は、なぜか俺に敬語で話しかけてくる。
「いや、何も連絡来てねーな」
「あたし、心配で。この前優奈と久々にゆっくり話したんだけど」
「……DVだろ?」
教室中が夏休み前の空気でざわついている中、
俺と加奈の間にだけ緊迫した空気があった。
「……」
加奈は目をつぶりながら、ゆっくりと頷いた。
「あいつ浦和で同棲してるんだっけ? 今度行ってみるか」
夏休み、俺もやることないし、
とりあえず加奈と一緒に、優奈の様子を見に行くことにした。