金星
きっとこいつが。


「彼氏の朋宏だよー! この近くでバイトしてるんだけど、休憩中っていうから連れてきちゃった」


優奈がいきなりその男性の肩に手を当てて、俺たちにそう言った。


半そでの白シャツに、腰には茶色い小さなエプロン。

カフェかレストランのバイトってとこだろうか。


「こんにちは、あたし優奈の中学からの友達で、加奈っていいます」

「クラスメイトの潤一っす」


「そっか。いつも優奈がお世話になってます」

そう冗談っぽく言って、朋宏ってやつは俺たちに頭を下げた。


「なにそれー、保護者じゃないんだから~!」

それを見て、無邪気に笑う優奈。


そこにいたのは普通のカップルだったが。


「ちなみに、加奈と潤一は付き合ってるんだよー」


突然、優奈は朋宏にそう言った。


「え!?」


一瞬、加奈が戸惑いの表情になる。

俺はテーブルに頬杖をつきながら、優奈と朋宏の様子を見ていた。
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