金星
「実家今誰もいないんだけど。どうしよう、絶対朋宏あたしに会うまで帰らないと思う……」
携帯を片手に、青ざめる優奈。
「あたしの家今日泊まってOKだから、今日は帰ってもらおうよ」
優奈のそばにきて、頭を撫でながら加奈はそう言った。
「でも……朋宏にあたしがここにいるのバレたら、朋宏、加奈にも手上げるかもしれない。キレたら本当に何も聞いてくれないから」
その時、再び携帯の振動音が、優奈の手の中で鳴った。
『優奈、実家じゃないの? 友達のとこ?
一目でもいいから会って話がしたい。優奈がいないと生きていけないよ』
もう朋宏は優奈の実家に到着したようだ。
優奈の家から加奈の家は電車で一駅。
歩くと15分くらいだ。
「と、とりあえず返信する! 送る前に2人に見せるね!」
そう言って、優奈は携帯をいじり始めた。